まずは、専門家に相談しましょう
みなさん最近は、インターネットのせいでもあると思いますが、様々な専門分野の知識までよく御存じの方が多いようです。
しかし、あくまでも専門的な知識の羅列であり、体系的な考え方やその前提となる条件等までは理解していないようにみうけられます。話のネタや一般的な話として、相続についていろいろとお話しすることについては別にかまわないとは思いますが、その知識を用いて実際に将来おこるであろう相続に対しての対策等を講じたり、他の人に対して相続対策等についての御指南をするのはおやめになったほうがよいと思います。
相続財産の多い少ないに関係なく事前準備は重要
相続に対する事前準備は、資産家の方にのみお勧めするわけではありません。「相続税なんてかからないよ。」と思っている方にとっても、「相続」に対する生前における事前準備は、残された方が争うことなく平穏無事に生活していくにあたって、とても重要なことなのです。
通常、「相続」に関心の高い方は、経営者・資産家等だと思いますが、「相続」は、経営者・サラリーマン・その他職種を問わずすべての方に関係するものであると思ってください。
そのため、相続財産の多い少ないにかかわらず、「相続」に対しての事前準備はとても重要となるのです。
争族回避か節税対策か
「争族」という言葉は、相続について少しでも調べたことのある方でしたら、見たことはあると思います。「族と争う」、すなわち、同じ血統の人と争うことを「争族」と揶揄して言っているのです。
「争族回避」と「節税対策」は、取り巻く環境にもよりますが、なかなか両立しずらいものであると思います。なぜなら、残す側(将来の被相続人)にとってみますと、自身が生涯をかけて残した財産をいかに多く次世代等に残すのかということを主として考えているのですが、逆に、残される側(将来の相続人)にとっては、様々な環境と思惑が絡んでいるために、現実問題としては、いかに自身がより多く財産をもらえるかということを主眼に置いているのではないのでしょうか。
以上のことから、残す側(将来の被相続人)が、「争族回避」か「節税対策」のどちらにどのぐらい重きを置いて対策を立てるのかということが重要になってくるのではないのかなと思います。
遺言書・公証役場の積極的活用のすすめ
近頃は、ひと昔前とは相続に対する考え方が少しずつ変わってきているのでしょうか。一族の絆が少しずつ薄れてきており、相続についても法律に基づいて、権利のみ主張して、「もらえるものはもらっておこう。」という風潮になっているように感じます。
それでは、これは権利を主張する相続人が悪いのでしょうか?
残す側(被相続人)にとってみれば、残された人(相続人)が仲良くしてくれることを一番に思っているのではないのでしょうか。ただ、なかなかそのようには世の中いかないものです。
残す側(被相続人)も、生前にきちんと残される側(相続人)に対して御自身の意思表示をそれとなく明示しておくことも一つの方法でしょう。ただし、単なる意思表示のみでは、やはり人の複雑な感情というものを考えると、その通りに実行されるという場合は少ないのではないのでしょうか。
そこで、残す側が自身の意思を死後確実に遂行してもらうために有効な手段が、公証役場での「遺言書」の作成です。これは、水戸黄門の印籠(ちょっと古いかな)のようなもので、金融機関だろうが裁判所だろうが、記載内容のとおりに手続きを進めることが出来るのです。
公正証書遺言作成には証人(2人以上)の立ち会いが必要
公正証書遺言の5大要件
- 2人以上の証人の立ち会いが必要です。
- 遺言の趣旨は、遺言者が公証人に口授します。
- 公証人が遺言者の口述を筆記したものを、遺言者および証人に読み聞かせ(もしくは閲覧)させます。
- 筆記が正確なことを遺言者および証人が確認後、各自これに署名し、押印します。
- 公証人が、前述の1〜4に従って作成したものであることを付記し。これに署名、押印します。
長期的な観点で考えましょう
世代間をまたいで考えましょう。短期的な観点での実効的な相続対策というものはほとんどありません。国もよく考えているものでして、すき間をついた節税対策とのいたちごっこを続けております。
不動産や株式等を活用するにしても、長期的な観点から一定の前提条件のもとに、いろいろと対策を考えますが、あくまでも前提条件が崩れると結果も事前の計画通りにはいきません。相続対策はあせらずゆっくりと。
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