遺言書の確認は?
まずは、遺言書の有無を確認いたしましょう。
遺言には、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」がありますが、通常は、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」です。自筆証書遺言は形式要件を欠くと無効になりますし、存在自体が不明な場合、また、破棄の可能性等から、最近は、公正証書遺言が確実なため増加しております。
自筆証書遺言の場合は、作成されているのかどうか不明な場合には、こころあたりの場所をとにかく探しましょう。発見したならば、開封しないで家庭裁判所で「検認」してもらいましょう。
公正証書遺言の場合には、被相続人に身近な執行者が必ず選任されているため、おそらく、被相続人の死亡時点で名乗りでてくるとは思います。もし、不安でしたら、平成元年以降に作成された公正証書であれば、全国を通じてコンピュータ管理されておりますので、相続人を立証できる書類(戸籍謄本等)を公証人役場に持参して公正証書の有無を確認してみるのもよいのではないのかと思います。
自筆証書遺言の執行には家庭裁判所の検認が必要
検認は遺言の執行の要件
自筆証書遺言は、家庭裁判所の「検認」を受けないと、その執行はできません。遺言の効力そのものは、民法985条で「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」と定めているとおり、遺言者の死亡時に生じますが、遺言の内容を実現するためには、「検認」がいるのです。検認を得ない自筆証書遺言に基づき、相続登記申請をしても、法務局は受理してくれません。(平成7.12.4民三4343法務省民事局第三課長回答)
まずは相続財産等の整理から
まずは、預貯金については、相続発生時点の残高証明をとりましょう。普段から被相続人と接していた方でしたら、被相続人の取引金融機関がわかると思います。そうでない方は、被相続人の部屋等を詮索してみて、取引金融機関等の通帳・証書・郵便物・カレンダー等を手掛かりにして取引金融機関の残高証明をとりましょう。
金融機関によっては、被相続人名義の預貯金等の名寄せをしてくれますので、心当たりの金融機関に行って残高証明をとってみてください。
不動産については、役所で被相続人名義の「名寄せ」を行いましょう。通常は、毎年、固定資産税の納税通知書がきていますので、それをもとにして法務局で謄本をとり、謄本の内容を確認しましょう。
その他、証券会社にある有価証券、貴金属類等、残された書類等を手掛かりにして相続財産の整理をしてみてください。
何をどうしたらよいのか分からない方は税理士に相談してみて下さい。
相続人は誰がいるの?
ところで、相続人は誰がいるんだろう?さすがに、テレビの中のように、被相続人の死後に、認知された子が突如あらわれて相続争いをするなんてことは滅多にないとは思います。しかし、みなさん結構、相続人について勘違いされている方がたまにいらっしゃいますので、必ず専門家に確認いたしましょう。
まずは、被相続人の「出生から死亡までの戸籍」をとりましょう。わからない方は、税理士等に相談して戸籍を確認してゆき、相続人の確認作業を進めましょう。
それと、相続人と似たような位置づけとして「受遺者」という者(まあ、簡単にいうと遺言により財産等を承継できる権利を持った者)がいる場合には、相続人の相続分に大きな影響を与えますので、こちらにも要注意です。
相続税はかかるの?
そもそも、相続税がかからないのでしたら申告義務はありません。
相続税がかかるのは、
相続財産−(3千万+6百万×相続人) > 0 (平成27年1月1日以後の相続開始から)
の場合だけです。
相続税がかからないからといって「相続」については無視するわけにはいきませんが、「相続税の申告」については考えなくてもよいでしょう。
ちなみに、国税庁が公表している最近のデータからですが、
- 死亡者数 約134万人
- 相続税申告者数 約11万2千人(死亡者数の8.3%)
相続税申告者数については、国が政策的に4%〜5%ぐらいになるように税制を変えてゆきます。ただ、ここ数年は高齢者の死亡者数が増加しており、申告者の割合が増加傾向にあります。
現在では、亡くなった方のうち、100人に8人ぐらいは申告が必要となってきております。これを御覧になっているあなたは、この8人の中に入りそうですか︖
相続税がかかるのなら10ケ月以内に申告を
相続税がかかるのは、
相続財産−(3千万+6百万×相続人) > 0 (平成27年1月1日以後の相続開始から)
の場合ですので、まず、税理士に相談してみましょう。
そして、相続税かかるのでしたら、相続発生後10ヶ月以内に申告義務がありますのでさっそく、事後的な対策を講じてみましょう。
相続税中心に考えないこと
相続税のかかる方は、「どうしたら相続税をいかに少なくできるのか」に腐心します。生前から、あれやこれやと対策をたてて実行していきます。
くどいようですが、くれぐれも、「争族」にならないように、残された方々が円満に暮らしていくのが一番であると思います。
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