事業承継の現況
中小企業庁の統計によりますと、現在の経営者の平均引退年齢は約70歳となっております。公務員・企業の一般的な定年である60歳と比較しましても、かなり高いのではないのでしょうか?これは、経営をバトンタッチしたくてもできない事情が諸々あるために、歳をとって身体はきついが仕方なく経営者であり続けるという現状があります。
その原因を考えてみますと、
- 少子化
- 親子間の考え方の変化(無理をしてまで、事業を引継ぐことを良しとしない考え方)
- 目まぐるしく変化する経済状況の変化のため、事業の将来性への不安による事業承継への不安
- 不安定で重責ばかりの経営者より、安定したサラリーマンの選択
- 親から引き継ぐ事業より、現代のネット社会に適した事業での起業の選択
事業承継の方法
事業承継をする場合には、どのような方法があるといいますと、大きくは以下の3つに分類できます。
- 親族内承継 … 子供、兄弟等による承継
- 親族外承継 … 役員又は社員による承継
- M&A … 第三者による合併買収
※現在は、上記の現況を踏まえて、親族内承継より、M&A・親族外承継を選択する割合が多くなってきております。
事業承継のための制度について
各種の民法、税法の優遇措置の制度があります。
- 遺留分に関する民法特例
- 非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予
- 個人の事業用資産の納税猶予
※なかなか使いにくい制度ではあります。
現実は……
事業承継は、みなさんが考えているほど容易ではありません。親族内承継ならうまくいく確率が高いのですが、それ以外の承継方法となると、なかなかうまくはいかないものです。
親族外承継等となると……大多数の方が、「うちの会社なら必ず、誰かがいい値段で買ってくれるだろう」「承継した後は、社員ともどもうまくやってくれるだろう」などなど思うとは思いますが、現実はそんなに甘くはありません。
事業承継の仲介は、金融機関・M&A仲介会社等ありますが、基本的には、自社の利益のみを考えている場合が多いので(仲介手数料の最大化)、依頼する場合には、選択を間違えないでください。
現在、国を挙げて事業承継に力を入れており、身近なところでは、商工会議所等、金融機関、M&A仲介会社等が、こぞって宣伝しております。ただ、現実は、余程会社等の財務状況・将来性がない限りは自身の納得のいく金額では交渉できないでしょう。つまり、会社等を売る側は買収側の要件をある程度飲まざるを得なくなります。そうならないためにも、一緒に強い会社を創っていきましょう。
当事務所がお手伝いできること
M&Aの仲介をするとか、譲渡先等を探すとかはいたしませんし、出来ません。実際は、金融機関又はM&A仲介会社により話が進む場合がほとんどです。しかし、当事務所の顧問先となっていただいている会社に対しては、事業承継に至るまでのベストなアドバイスを時間をかけてすることができます。